産業ガスをはじめ、ケミカル、医療、エネルギー、農業・食品などの幅広い分野に事業展開するエア・ウォーター株式会社。日本全国に関連グループ企業をもち、1万名以上でSafetylink24を利用している。同社のコンプライアンスセンター 係長 上本学氏、総務部 福本洋樹氏、エア・ウォーター・デジタル株式会社 大阪事業部 部長 酒井隆博氏、事業システムグループ 村上雅民氏に、安否確認システムの大規模導入における選定のポイントや背景をうかがった。
はじめに御社の事業内容についてお聞かせください。
当社は、主に産業ガス、ケミカル、医療、エネルギー、農業・食品、さらには塩、マグネシア、物流、エアゾールなど幅広い事業を展開しています。
特に、1929年の創業より続く産業ガス事業では、酸素・窒素・アルゴンをはじめとする産業ガスを、鉄鋼をはじめ化学、エレクトロニクス、ガラス、自動車などのものづくりの現場へ、お客様ニーズに応じて最適な方法で安定供給しています。
御社は多様な事業群で構成されていますが、その強みについてお聞かせください。
現在、当社は「2020年度の売上高1兆円企業」をめざして中期経営計画「NEXT-2020 Ver.2」を推進していますが、そのポイントは産業、ケミカルに代表する「産業系ビジネス」と、医療、エネルギー、農業・食品をはじめとした「非産業系ビジネス(=人にかかわる事業)」の連立にあります。
昨今、リーマンショックや東日本大震災にはじまり、電力不足問題や円高を背景とした国内製造業の伸び悩みなど、企業を取り巻く経営環境は目まぐるしく変化してきました。しかし、こうした厳しい経営環境下でもそれぞれの事業が独自の強みを発揮して、事業環境に適応しながらグループ全体として安定着実に成長していく「全天候型経営」こそ、私たちの最大の特長であります。
それでは、Safetylink24導入のきっかけについて教えてください。
きっかけはやはり2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震です。まだ現在の状況と比較するとシステマチックな安否確認体制を築けていなかったため、地震発生時、とりわけ東北地区のグループ会社において、人海戦術的な対応を余儀なくされた部分がありました。
東北地方太平洋沖地震の際にはどのような対応をとられたのでしょうか?
当社が取り扱う産業ガスや医療用ガスは、いついかなる状況下でも安定供給が絶対に欠かせません。例えば、窒素は化学工場の防爆用途として常に不可欠ですし、医療用酸素は一分一秒の供給の遅れが人命を左右しかねません。
そのため私どもも、3月11日の夕方には大阪のエア・ウォーター本社に災害対策本部を設置し、従業員の安否確認、被災状況把握と対策、また被災圏外からの緊急支援物資の手配等の活動を行いました。これにより、東北地区の複数の液化ガスプラントが設備破損や停電などの影響を受けるなか、迅速な復旧と途切れることのないガス供給を行うことができました。また医療機関への医療用酸素の供給も切らすことはありませんでした。この背景には、当社の全国に広がる製造拠点の分散化と、営業・物流ネットワーク、そして各現場社員の「どんな状況下でも、絶対にお客様のもとへガスを届ける」という強い使命感など、まさにグループ全体の総合力があったからだと考えています。
しかしながらこの未曾有の大災害に対し、さらなる整備が必要と判断された部分もありました。そのため、震災後にコンプライアンスセンターが事務局となり、事故・災害、およびコンプライアンスなどの、対応が必要なリスクを抽出し、エア・ウォーター全体のリスク管理体制の強化を図るリスクマネジメント検討会を発足させました。この中で効率的でスピーディーな安否確認体制の構築を実現するべくSafetylink24の導入を決定いたしました。
それでは、現在のご利用状況について教えてください。
現在は、連結会社はもちろんのこと、非連結会社まで含めたグループ企業約95社、つまりほぼグループ全体の10,300名ほどで利用しています。それぞれの役割は、運用の方針策定とグループ各社への説明をコンプライアンスセンターと総務部が行い、ID登録やメンテナンスを、エア・ウォーターの基幹システム運用・管理をおこなうグループ会社であるエア・ウォーター・デジタルが担当しています。そしてグループ各社にはそれぞれシステム担当者をおき、ID登録などの利用推進やルール等の社内通知を行っています。さらにグループ各社においては各社独自の運用も行えるようにしています。
グループ会社ごとにメッセージ管理や配信を行っているということでしょうか。
はい。気象庁からの地震情報と連動した家族を含むメッセージの配信は本社で一括して行いますが、それ以降の、例えば出社可否に関するメッセージ、あるいは休日の緊急連絡などの独自運用に関しては、各社のシステム担当者をSafetylink24のグループ管理者として権限を与え運用いただいています。その方がより細かな連絡体制を構築できますし、場合によっては地域に特化したリスク対応体制が構築可能です。
防災訓練などでのご利用状況や、実際に配信された際の状況を教えてください。
防災訓練に関しては本社主導で年に1度行っており、対象社員へのメッセージ配信も行います。前回訓練時の回答率は約70%でした。
また実際の配信としては、愛媛で震度5強を記録した3月14日の地震がありました。これは発生時間が深夜の2時頃であったにも関わらず80%以上の回答率がありました。10,300名という大規模利用ですが、確実に浸透してきていると感じています。
大規模での利用というお話がありましたが、最終的にSafetylink24を選択されたポイントと、その導入効果について教えてください。
まずはやはり「1万名以上で利用する」という観点での評価を行いました。ポイントとしては
この4つの大規模利用に関する要素について詳細を確認しました。そのほかには
なども非常に重要な要素でした。実は導入後、利用者からの問い合せが最も多かったのがこの個人情報に関する部分でしたが、Safetylink24では、登録の有無は確認できますがメールアドレスについては閲覧できないような仕組みになっていますので、安心して利用者への案内をいたしました。
今あげた必要要件を全て備えていたのがSafetylink24でしたので、検証・確認後は迷わずに導入させて頂きました。
導入効果についてはどのようにお感じでしょうか?
利用推進のためにガイドブックなどを制作して全社員へ配布するなどの事務局側での推進活動というものもありましたが、Safetylink24の導入から1年が経過し、全社員の登録をすすめている中において、震災発生時における報告体制がかなり定着してきたなと感じています。先の愛媛での地震の際にも強く感じたことですが、既に登録をした社員などからこちらから詳細を確認しなくとも必要な情報が寄せられるなど、個々の意識に変化がうまれてきていると感じています。
東北地方太平洋沖地震の際に、現場スタッフの使命感とも言うべき高い意識に支えられた経験が有りますので、この意識の底上げは非常に嬉しい効果です。
最後に、今後のご要望などがあればお聞かせください。
機能的には、当社の人事システム等との連携が可能になれば、より便利に使えるのではないかと感じています。
そのほかには、御社はSafetylink24のほか、データセンターサービス、データバックアップサービスなど災害対応に有益なサービスを提供されているので、当社グループのリスクマネジメントをさらに推進するためにも、これらのサービスの提案を通じてご協力いただければと考えています。
お忙しい中、ありがとうございました。
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代表者 | 代表取締役会長 CEO・最高経営責任者 豊田 喜久夫 |
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従業員数 | 12,580名(連結) 1,024名(単体) | |
事業内容 |
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Webサイト | https://www.awi.co.jp/ |