ブログ本作成サービスを立ち上げるなど新しい印刷サービスに挑戦する東京・文京区の欧文印刷は、既存サーバーの老朽化を機にActiveAssetsを導入、日々の業務に活用している。同社イメージング部 部門長 大塚弘氏に導入の経緯やActiveAssets活用法などにつき詳しく聞いた。
欧文印刷について教えてください。
欧文印刷は、コンテンツ制作から印刷、製本までを行う総合印刷会社です。「欧文」という社名が物語っているように、半分はアラビア語、ロシア語などの外国語です。翻訳もおよそ15カ国語を取り扱っています。
国内向け印刷だけでなく、ハワイで配布されるフリーペーパー「アロハストリート」の出版も行っています。本社の他、印刷製本を行う坂戸事業所、オンデマンド印刷のプリントパックス(板橋)の二つの事業所のほか、関連会社が3社あります。従業員は160名です。
最近はWebサービスにも力を入れており、「ブログを本にする」MyBooks.jpという個人向け製本サービスを開始しました。インターネット経由で1冊から自分のブログ本が作れるという手軽さがブロガーの間で好評を得ています。
欧文印刷はActiveAssetsをどのように活用していますか。
欧文印刷では2006年7月、サーバーリプレースを機にActiveAssets ライセンスサーバの利用を開始しました。以来2年間にわたり、多機能サーバーとしてActiveAssetsを日々の業務に活用しています。具体的には以下5つの用途に使っています。
本日は、欧文印刷様のActiveAssetsの使い方について、それぞれ「導入前と導入後」という形でお話を伺っていきたいと思います。まず、1,「制作部門と印刷部門とのファイル受け渡し」について、具体的に教えてください。
欧文印刷は、本社(文京区)で制作をし、坂戸事業所(埼玉県)で印刷製本を行うという体勢を取っています。この両部門間でのファイルのやりとりは毎日発生しています。
ActiveAssets導入前は、ファイル受け渡しには、主にFTPを使っていました。しかしFTPは通信時間が長くかかってしまうという弱点がありました。というのは、画像が多く含まれる下版データのサイズは非常に大きく、1つのジョブで1Gから大きいものでは10Gにもなります。データを圧縮してからFTPに上げるのが半ば常識化していましたが、この圧縮・解凍作業に時間がとられ、大きいファイルでは解凍だけで4〜5時間かかることもありました。
ActiveAssetsを導入し、それが大きく変わりました。ファイルの圧縮・解凍をしなくても済むだけでなく、FTPより通信時間そのものもかかりません。結果、ファイル受け渡しにかかる時間が以前の3分の1から4分の1に減りました。
2、「外部制作会社とのファイル受け渡し」について、具体的に教えてください。
これも社内でのファイル受け渡しとほぼ同じような使い方です。たとえば、名古屋にある外部制作会社とのファイルのやりとりは、これまでメディアに落として郵送または宅配サービスを使うか、FTPを利用していました。しかし、輸送は時間もコストもかかりますし、FTPは時間がかかるほか、言葉は悪いですが「バケツ」のようなものですから、関係ないファイルまで見えてしまう危険性があり、外部とのやりとりで使うにはセキュリティ面に不安があります。
ActiveAssets導入後は、コストほぼゼロでファイルの受け渡しができるだけでなく、領域ごとにアクセス権限を自由に決められるため、安心してファイルの受け渡しができるようになりました。
3、「お客様の入稿システムとして」について、具体的に教えてください。
欧文印刷では、これまでお客様に印刷データを入稿していただく方法は3つでした。1番目は、「営業担当が出向いて取りに行く」、2番目は、「バイク便を使う」、3番目は、「FTPを使う」です。しかし、それぞれに問題がありました。
まず「営業担当が出向いて取りに行く」方法について。
これは印刷業界で昔から行われている方法です。しかし単純に「デリバリー」だけの目的で営業が客先に出向くのだとすれば、これは本当に無駄です。営業担当であれば、新規開拓にその時間を当てるべきでしょう。
そこで一時、デリバリーの仕事をすべてバイク便に変え、会社の前には常に10台ほどバイク便が待ちかまえていた時期がありました。たしかに、営業担当の時間を使うよりは効率的ですが、バイク便にかかるコストが半端ではありませんでした。何か品物のやりとりならまだしも、電子化されているデータが入った「メディア」を運搬費をかけて受け渡しを行うのはナンセンスです。
そこで、FTPを使ってインターネット経由で入稿していただこうと呼びかけをしました。しかし、FTP を使うためには、お客様のほうで何らかのアプリケーションを設定する必要があります。お客様はITが得意とは限りませんので、これだけでハードルが高いと感じる方も多いわけです。そして設定ができたとしても、入稿をするまでの操作に手間がかかるために敬遠され、こちらの意図に反してわずか10社ほどしかオンライン入稿をしてくれませんでした。
ActiveAssets導入後は、使い勝手の良さからこれまでの12倍以上、125社が入稿に使用してくれるようになりました。 ActiveAssetsはお客様側の設定が不要で、Webブラウザからログインさえすれば自分の領域が出てきてそこに入れるだけ、という手軽さが、多数のお客様に利用していただけている理由だと思っています。これにより、欧文印刷では「オンライン入稿」はほぼ定着しつつあります。
ActiveAssetsによるオンライン入稿が定着したことでどのような効果がありましたか。
まず、会社全体として見た場合、営業担当が本来の仕事である新規顧客開拓ができるようになったことが最大の効果だと思います。これまで入稿データを取りに行くだけの「デリバリー営業」をしていた営業担当も、多い部門では月に50社ほど見込み顧客をまわり、新規案件を2〜3件上げてきています。今までほとんどこういった新規開拓ができなかったことを考えれば、この効果は非常に大きいものです。
また、バイク便の利用は、ほぼ品物の運搬だけですむようになり、コストが以前の10分の1になりました。
さらに、お客様の原稿チェックなどにおいても、これまでは出張中などには「社に戻ってから」ということになって仕事の流れが止まることがありましたが、ActiveAssets導入後は出張先のホテルでもお客様に原稿チェックをしていただけるので、プロジェクトが早く進むようになりました。
4、「ファイルの一元管理ができるサーバーとして」について、具体的に教えてください。
欧文印刷では、部署ごとにそれぞれ小さいサーバーを持ち、社内においてのみ使用しています。制作の工程ごとにサーバーがあったほうが便利だからです。
しかし、このやり方だと同じようなファイルが複数存在してしまうため、最終データを決めるときにどれが正しいデータかわからなくなることがありました。
ActiveAssetsを導入してからは、「ここは最終データを置くサーバー」という社内ルールを決めました。ActiveAssetsは明らかに他のサーバーとは違うため、作業する人間も認識がしやすく、間違いは起きません。結果、全体の作業の流れがスムーズになりました。
5、「オンライン校正ツールとして」について、具体的に教えてください。
冒頭に述べた通り、欧文印刷はハワイで配布するフリーペーパー「アロハストリート」の出版に携わっています。ActiveAssetsのオンライン校正機能により、ハワイ、日本、海外の3カ所で行うこのプロジェクトにおいて、大幅なコストダウンを実現しました。
「アロハストリート」は、ハワイの関連会社で企画し、国内の協力制作会社で制作・校正、欧文印刷または海外の印刷会社(為替レートにより変動)で印刷した後、ハワイに空輸、配布されます。
ActiveAssets 導入前は、校正時のハワイと国内制作会社のデータのやりとりを、空輸で行っていました。このやりとりは数往復になるため、平均して1ヶ月、長いときで2ヶ月かかっていたと記憶しています。そこで、この時間の短縮のため、ハワイの関連会社から校正を行うため担当者が年3回出張してきていました。海外出張費は年間100万円近くに上りました。
ActiveAssetsの導入後、インターネット上で校正作業が完結できるようになってからは、この業務が劇的に変わりました。具体的には以下の通りです。
ところで、そもそも欧文印刷がActiveAssetsを導入したきっかけは何だったのでしょうか。
きっかけは、それまで使っていたサーバーが劣化して入れ替えの時期に来たことです。次に入れるサーバーをどうするかと考え、展示会やセミナーなどで情報収集をし、検討をしていました。ASPサービスのもの、サーバー買い取りのもの、合わせて10社ほどの中から最終的に以下4つに絞りました。
4つの中から最終的にActiveAssetsにした理由を教えてください。
では4つの候補について、ひとつひとつご説明していきます。
まず、「海外のASPサービス」。
しばらくあるサービスを試用しており、機能面で特に問題なく使っていました。しかしサーバーが買い取りではなく、ある領域を借りる形のサービスのため容量が少ないこと、「サーバーが日本以外の国にある」という精神的不安がありました。
次に、「Mac専用サーバー」。
DTPの仕事はMacが主流ですから、Mac専用サーバーも有力候補として考えました。でも欧文印刷の仕事では、MacデータだけではなくWindowsデータもあります。Windowsには今ひとつ弱いMacサーバーは向かないと思いました。
「印刷業に特化したサーバー」。
印刷業に特化したサーバーは、安全設計が徹底されていてよくできていると感心するところが多くありました。しかし、これを使えば、たとえばデザイナーに「このファイルはここに保存をしなければ管理外になりますのでデスクトップに置いておかないこと」などと管理体制を厳しくせざるを得なくなり、作業者の創造性やモチベーションを奪うことになると思いました。その結果よい制作物ができないのでは本末転倒です。大企業であれば管理強化も仕方がないかもしれませんが、欧文印刷の人数規模では、管理よりもクオリティの高い制作物を作ることを優先したいと考え、このサーバーは合わないと思いました。
検討の結果、ActiveAssetsが、欧文印刷が求めているものに最も近いということになり、決定しました。最終的な決定理由は以下です。
イーネットソリューションズへの評価をお聞かせください。
イーネットソリューションズに関しては、もう2年以上のつきあいになりますが、1回も嫌な思いしたことがありません。やる気のある前向きの会社だと思います。積極的にこちらに関わってくれて、要望に耳を傾けてくれるとことを評価しています。
ActiveAssetsへの要望があればお願いします。
ActiveAssetsは、操作は簡単だと思いますが、パソコンの苦手なお客様でもわかりやすく説明してくれるツールがあれば(※)、入稿に使ってくれるお客様の数がさらに増えるのではと思っています。
※イーネットソリューションズから一言:当社では現在、初めてActiveAssetsを使う方のためのページまたはツールの導入を検討しています。実現まで今しばらくお待ちください。
ActiveAssetsはどんな業種に向いているサービスだと思われますか。
やはり印刷業界に向いていると思います。また、オンライン校正などが活用できるので、制作会社でも活用のメリットが大きいと思います。
ActiveAssets、およびイーネットソリューションズへの今後の期待があればお願いします。
欧文印刷では、今後もますますActiveAssetsを活用していくとともに、ActiveAssetsを使ってコンシューマー向けのサービスを提供することも一つの可能性として考えています。イーネットソリューションズには変わらぬ厚いサポートに加え、時代が求めるサービスを一緒に作っていけるような関係も作れれば幸いです。これからも大いに期待しています。
お忙しい中、ありがとうございました。
イーネットソリューションズでは、ご導入前の各種ご相談にお答えする「サービス体験説明会」を実施しています。お気軽にお問い合わせください。
代表者 | 代表取締役社長 和田 美佐雄 | |
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従業員数 | 130名 | |
事業内容 | 情報加工業、感性価値製造業およびオンラインパブリッシングサービスの開発と販売 | |
Webサイト | http://obun.jp/ |